今年も秋を迎えて、そろそろ年末に向けて利益予測をする時期になってきました。利益予測を立てた結果、節税対策を検討したい方もいるでしょう。今回は節税対策によく使われる倒産防止共済(経営セーフティ共済)について、制度の概要・節税効果から具体的なスケジュール等について解説します。またポイントとして、前納するタイミングについてアドバイスしています。
倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは?
倒産防止共済(経営セーフティ共済)は節税対策としてよく利用されています。
しかし本来の制度の内容は、取引先が倒産した際に無担保・保証人無しで掛金総額の10倍(最高8,000万円)まで素早く資金を借入れできることです。
倒産防止共済(経営セーフティ共済)の節税効果
経営セーフティ共済は支払った掛金が経費(法人の場合は損金)になります。しかし実態は掛金を中小機構に預けているだけなので、いわば外部への貯金です。
では具体的にいくら節税になるのでしょうか?個人事業主を例に見てみましょう。
事業の利益が900万円出る見込みだとします。すると所得税の金額は1,434,000円になります。
計算式:(9,000,000円×23%ー636,000円=1,434,000円 ※青色申告特別控除・その他の所得・所得控除等は考慮していません。
しかし経営セーフティ共済の掛金を240万円支払うとそれが経費になるので利益が少なくなります。すると所得税の金額は882,000円になります。倒産防止共済をしなかった場合と比べて、納税額が552,000円減少します。
【ポイント】所得税は高所得者になればなるほど税率が高くなるので、利益がたくさん出て税率が高くなる時に掛金を支払うと節税効果がさらに大きくなります。そのため、今後の事業計画を見据えて前納するタイミングを検討することが重要です!
具体的な手続きとスケジュール
決算直前に駆け込みで加入する場合、前納すれば最大240万円の納付ができます。では決算に間に合わせるにはどうすれば良いのでしょうか。
新規申込と同時に前納する場合、個人事業主は12月中旬頃までに掛金の納付と申し込み書類の提出が必要です。年末は他の月とはスケジュールが異なるので注意が必要です。
申込をして2年目以降に前納する場合、新規加入よりも締切が1ヶ月早くなるので特に注意しましょう!
タイミングを逃して決算対策に間に合わないというケースを見かけます。正確な締切日はどの委託機関を通じて申し込むかによって異なります。顧問税理士や機構等へ必ず確認するようにしましょう。
加入することによるデメリット
経営セーフティ共済は加入して40ヶ月を経過するまでに解約してしまうと元本が割れます。外部への貯金といえど元本割れ期間中は資金を引き出すことは難しいので資金繰りに注意しましょう。どうしても引き出したい場合は一時貸付金制度を利用するのがおすすめです。
その他に利用できる制度は?(貸付制度)
経営セーフティ共済本来の使い道として取引先が倒産した場合は共済貸付金を請求できます。取引先が倒産した場合は共済貸付金を請求できます。
例えば今までの掛金総額が720万円(240万円×3年)、取引先が倒産して回収できない債権が3,000万なら、720万円×10倍=7,200万円>3,000万円
少ない方の3,000万円を限度に貸付を受けることができます。しかし加入後6ヶ月未満であったり掛金月額が少額だと、貸付を受けられない場合があるので注意しましょう!
また取引先の倒産ではなくても資金繰りに困った場合は、一時貸付金を請求できます。ただし共済金貸付とは異なり、利息がかかる点に注意しましょう!解約手当金(概ね掛金総額)の95%を限度に貸付を受けることができます。
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